水の間②
そしてその問題を最後に全ての質問に記入し終えた。
後は送信ボタンを押すのみ
これを押せば個人情報が相手に送られるのだろう。
そうなったらもう後戻りは出来ない。
俺は間違えてないか、個人情報の分のみもう一度確認した後、意を決してボタンをクリックした。
突如――
ディスプレイが変わる。
確認ページも何もない。
『送信完了しました』と言う文字と共にパソコンの画面全体に何か数字の羅列が広がる。
――眠い
それがなぜ睡眠を誘発する作用があるのか分からない。
しかしそれを見たが最後ーー目線はパソコンに釘つけになり、眠気が雪崩のように襲い掛かる。
そして俺は抵抗もむなしく、最後には目を瞑ってしまい、夢の世界へと誘われた。
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「痛っ」
俺は何かに蹴られ目が覚めた。
視界にうつる天井は自分の家の物ではなく、ひどく汚らしい。
それに何故か天井から一本の管が突き出ている。
何故俺はこんな所にいるのだろう。
覚えているのはパソコンの画面が突然代わった所まで。画面が変わった瞬間何が起きたのか記憶を掘り起こそうと頑張るが何も思
い出せない。
とにかくここがどこか考えなくては……
俺は身体を起こし、先ほどより注視しながら辺りを見渡す。
今いるのは大体、3メートル四方ある小さな部屋だ。
出口はなく、一体何処からここに入ったのか分からない。
そして驚くべき事に俺が寝ていた隣では2人の人間が今尚横たわっている。
2人共、見た目は高校生ぐらい。片方は女の子だ。どうやら俺はこの子の寝相により殴り起こされたらしい。
まぁ、とにかく現状は最悪。この子の目が覚めて見知らぬ男が目の前にいると知るとどう言った行動に出るだろうか……
しかしこの部屋には出口が存在せず、2人の目が自然と覚めるより早くここから脱出するのも不可能であろう。
俺は迷ったあげく2人を起こすことにした。
「おいっ、起きろ!」
肩を揺すり、2人を観察するように見る。
先に起きたのは女の方
黒い長髪に、白いワンピースを着ている。
顔はどちらかと言うといいが、先ほどまで寝ていたと言うのに、目の下に大きな隈が出来ており、それが容姿のレベルを幾分か落としていた。
「うーん、ここは?」
まだ寝ぼけているらしく、俺が起こしたことを気にしていない。
しかし、すぐに状況を把握し、俺から飛びのいた。
「ちょっと、あなたは誰でか!? それに此処は何処?」
部屋は縦横3メートルほどしかなく、飛びのいたと言っても逃げることは出来ない。
俺は一旦その子のことは無視し、もう一人の男の子を起
こしてから、今の状況を説明した。
聞いた話によると、この2人は俺と同じように変なサイトを利用した際に眠ってしまったらしい。
最初は取り乱していた俺達だが、状況を理解してここからの脱出を図ろうとする。