hiro-shugo’s diary

グダグダ雑談日記

水の間③

まずは状況の把握だ。

俺と一緒に出口が存在しないこの部屋に放り込まれているのは2人。


名前は田村アカリに金堂隆也だ。


田村アカリは年齢が17歳の高校生。

重病を患っている妹がおり、その子は治療法の関係から日本では治療が出来ず、生きるためには外国で手術を受けるしかない。

しかし外国では保険が効かず、治療法は膨大

彼女の両親もそれを稼ぐために頑張ったが、過労によりつい先日倒れたとのことだ。


となると、もうその金を稼げるのは彼女しかないない。


田村さんは必死に高額のバイトを探し始めたそうだ。しかし、いくら努力しても、高校生という年齢でそう大金を稼ぐことは出来ない。

援助交際しようと手術代の1割稼げるかも怪しいところだ。


妹を助けようとして、どうしようもなく、困り果てた末にあのサイトを見付けたようだ。


もう藁にでもすがる気持ちでアンケートに答え、その瞬間から記憶がないそうだ。

 

次に金堂隆也。

彼は歳は19で昨年、高校を卒業して、今は会社員として働いている。


お金には何ら困っておらず、日々の生活を過ごしている時、このサイトを見付けたのだ。


しかし、彼はこれをただの冗談としか思えなかった。

 

なんと彼は話のネタになるだろうという、軽い気持ちからこれに応募したらしい。

しかし、目が覚めて見れば知らない面々に知らない部屋。

今、金堂は酷く後悔していた。

 

そして最後はこの部屋の探索だ。


部屋は縦3横3高さ2メートルくらいの直方体

壁は灰色で少し汚らしい。


また部屋の高さ1メートルくらいの所には、赤い線が全ての面に対して引かれてある。


そして天井からは何かパイプが出てて、その少し離れた所にゴムの部分が剥き出しになったプラグがついている。


さらに下を見ると、それを差し込むようなコンセント。そして床には排出口。

排出口の大きさは腕が一本入るかどうかというレベルであるため、脱出には使えない。

どこにも出口どころか自分たちが入ってきたはずの入り口すらないことに段々と焦り始める。

嫌な予感が止まらない。

もしこれがあのネットの言う通り、大金の入る何かをする所だとすると俺達は一体何をしなければいけないのか……


考えても考えても全く分からない。


ヒントが全くと言って良いほど見つからない。


3人寄れば文珠の知恵とはよく言った物だ。


困り果てる俺達

もう隆也君は汚い部屋に諦めたように寝転がっている。


どうしたものか?

何か鈍器があれば壁を壊そうと考えるのだが……

1番年上の俺がどうにかしないと!


俺は隠し扉の可能性を考え、壁を触り探索する。


ると示し合わせたかのように天井の一部が開き、小型のテレビみたいなのが下りてきた。


「おいっ、これ!」


決して広くはない部屋。

2人もすぐに気付いたようで、液晶の前に集まってきた。