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hiro-shugo’s diary

グダグダ雑談日記

水の間⑥

小説

ある案とはこの中の1人だけが生き残れる……そんな必勝法とは程遠い方法だった。

 

その方法は以下の通りだ。


まず誰が生き残るのかを話し合いで決める。そして決まった人物を他の誰かが肩車する。


その時、肩車をしている人は壁にもたれかからせ、コードで一度縛り固定


そして最後の一人が、コンセントにプラグを差し込むのだ。


偶然かそれまた意図的なものか……、コードは長く、人を縛る余裕はある。


これによって、もし電気が流れたとしても、水の届かない位置にいる人は生きられるはずだ。


流石に人を伝った電流では死にやしないだろうし……


しかし、これにもいくつかの弱点はある。


元々、生きられる可能性が50%のこのゲーム

3人に1人しか生きられないと言うのでは割に合わない。


更にもし肩車されている人が、自らを支える人物をつたい、自らを襲う電流によって、バランスを崩すと、作戦は水の泡。全員死んでしまう可能性もある。

というよりそもそも、まず話し合いで上手いこと助かる人を決められるとも思えなかった。


それを考えるとこの案は本当に最終手段。

出来れば使いたくない。

 

俺は他の案を導くため、思案にふける。


その間に、水はとうとう俺の腰あたりまでやってきていた。

 

もう時間はほとんど残されていない。1度冷静さを取り戻した俺たちだが、またパニックになるのも時間の問題。とにかく急がなくては……


――と、深い思考に入ったその時


隆也君が大声を上げた。


「このゲームの攻略方法が分かりました!」

 

とても小さく、隙間一つない密室


耳につんざくような声が何度も何度も木霊(こだま)する。


ここが何気ない日常の場なら鬱陶しく感じただろう。しかし、この時ばかりは違う。むしろ彼の声が心地よく聞こえた。


「本当かい? 一体?」


俺は期待の眼差しを隆也君に向ける。ふと横を見れば田村さんも彼をじっと見つめていた。

彼の答えはまだ聞いていない。しかし死は目の前までやってきているのにまだ答えは出ていないのだ。おそらくこれが最後の希望。この答えによって全てが決まると言っても過言ではない。


「はい。ヒントはあったんです。液晶に出てきたあの面を被った女の名前です!」


名前……確か、水な……

あともう少しというところまで出てくるが、あと一歩のところで思い出しきれない。


しかしよくよく思い出してみれば、彼女は確かに自分の名前を覚えておくよう示唆するような言葉を言っていた気がする。

 

「彼女の名前は水楢纏。これを並び替えるんです!」


アナグラム――暗号を解く1つの方法だ。

配列された文字を並び替えて、別の意味を持つ言葉を作ると言うもの。


この手法は何やかんや暗号に関わらず沢山の分野で応用されている。

 

そして今回の場合

みずなら まとい】は【水止まらない】に変換出来る。

筋は通っている。それにアナグラムでその言葉が出てくることもただの偶然とは思えない。

「なるほど、じゃあ水が止まらないと言うことは俺達にはコンセントを指す道しか残っていないわけだな」


「はい!」