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hiro-shugo’s diary

グダグダ雑談日記

三日月②

でも二十歳まで生きられないと言われた私には十分すぎる大きな夢だ。

少なくとも18歳までは生きないと叶わぬ夢なのだから。


だから私は事情を知らない先生に

「書き直したらどう? 就きたい職業はないの?」

と言われても決して夢を変えることはしなかった。

 

 

私は無事中学生となった。

両親はそれだけでバカみたいに大騒ぎ。

前からそういうのが妙に恥ずかしかった私はこれを機に「これからは病気もなにもない健康な普通の子どもと思って接して」とお願いした。

こう言ったことは今も後悔はしていない。

 

 

中学2年生の冬

私は体育の授業でマラソンをしていた。

いつものよう走っていると胸が突然苦しくなった。

ただの疲れによる息切れではない。


こんなの初めて……。

私はそのまま意識がなくなった。


次に目が覚めたのは保健室ではなく病院だった。

ゆっくりと起き上がると、私の周りにパパとママがいた。

心配そうに私を見ている。

私の病はやはり進行していたみたいだ。

 

 

そして私はとうとう高校2年生となった。

夢の大学生まではあと2年

でも私の身体はもう運動ができないものになっていた。

 

 

桜舞い散るこの季節

今日は始業式だ。

廊下には新しいクラスを見ようとする人達が群がっており、私も確認するためにその中に向かう。

 

トントン


とその時突然後ろから肩を叩かれた。

私はゆっくりと後ろを確認する。そこにいたのは私の一番の友達――橋本友梨だった。


「おはよう、恋歌。」

私の顔を確認すると元気よく挨拶をする友梨。
この元気の良いところが彼女の特徴だ。


「クラス確認しといたよ。恋歌身体弱いんだから人混み入るの大変でしょ。待ってたんだ。」

 

友梨は私の病気を知らない。皆と同じようにただ身体が弱いだけと認識している。

私の病気を知っているのはこの学校では校長と担任と体育の先生、それに保健の先生くらいだ。


「おはよう。ありがとね、助かった」

「別にいいよ。クラス一緒だから行こ」

「うん」

私は友梨に導かるがままに教室に向かう。

着いた先は2―3だった。


黒板に座席表が貼ってある。

私はそれを確認して、席に着くと、ゆっくりと机にもたれ掛かる。

この頃学校に行くという行為だけでも重労働

 

そろそろママに頼んで送って貰った方がいいかもしれない。

 

 

私がそう考えていると、友梨が荷物を自分の机の上に置いてやってきた。

 

その手には何か握られている。

 

私はなんだろと思って見ていると

「誕生日おめでとう」

と言って手に持っているものを差し出してきた。


そう言えば前に誕生日の日付を言ったっけと思いながら笑顔でうけとる。

 

貰ったのは熊のキーホルダー。ビーズみたいなので繋がれている。

 

私はさっそく自分の携帯にとりつけた。

 

新たに増えた私の仲間。中々可愛らしい姿をしている。

 

「ありがと」

 

私がお礼を言うと、友梨は満足げな笑みを浮かべる。

 

すると友梨はホームルームの時間が近づいてきたためか、すぐに自分の席に戻っていった。

私は友梨が席に着いたのを確認すると小さくため息をつく。


(私の寿命もあと長くて3年か…)

 

こういったプレゼントは単純にうれしいが、誕生日自体は寿命を突き付けられているようであまり好きではない。

 

両親も小さい頃は祝ってくれていたが、ここ2年は何も言わなくなっていた。

 


ガラガラ

それからすぐ扉が開き先生が入ってきた。

去年と同じ担任のようだ。

私は再びため息を吐く。
ちょうどその時始業を告げるチャイムがなった。

今日も一日が始まったのだ。