hiro-shugo’s diary

グダグダ雑談日記

三日月12

あれから一週間

 

そろそろ皆に自分の余命のことを伝えないといけないと思いながらも、伝えられずにいた。


友梨には悪いと思うが、どうしても踏み切れない。


萎える気持ちで私は授業を受けていた。

 

そして私の心はそれ以外にも動いていた。


その対象は勿論神崎君

 

あれから会ってはいないが、それでも私の想いは段々と大きくなっている。


伝えられない、いや伝えてはいけない想いは私を苦しめていた。


少しでも油断すると脳裏には神崎君のことが過ぎり、神崎君と楽しく買い物している夢まで見る始末だ。


私はもうすぐ死ぬ身

決して神崎君に想いを伝えたら駄目だ。

 

授業中にも関わらず泣いてしまうことも、しばし。

 

生きたい――そして神崎君と……


何度もそう考えるが現実はそう上手くいくはずがなかった。

 

 

そして、私の想いはついに爆発した。

場所は理科室

きっかけは些細なことだった。


もうすぐ、実験をするので教科書とか不必要なものを机の下にいれた時……私の携帯が鳴ったのだ。


この学校は携帯の持ち込みは禁止

私は病気の件で学園内も携帯を持つことは許されているが、知ってるのは校長と担任くらい


普通の先生は何も知らないので、一旦没収される。


案の定、この先生も音を聞き取り、私の席の目の前にやってきた。


私は何を思ったのか急いで携帯を確認する。


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俺が退院したらどこか遊びに行かないか?

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短いメール

ただせき止めていた私の蓄積された想いが崩壊するにはそれは十分だった。


「御堂さん。うちの学校は携帯禁止です。貸しなさい」


理科では中々珍しい女の先生が私の目の前に立ち、手をさしだす。

 

しかし、私はそれを拒んだ。

 

先生はそれに驚いた。


「……っ、携帯を貸しなさい。これは違反です!!」


何も知らない先生

私は泣いてしまいそうなのを必死にこらえながら先生の目を見る。


「私はいいんです。サイレントにしていなかった事は謝りますから、ほっといて下さい」


普段優等生をしている私


周りの皆も私の態度に驚愕な表情を示す。


「いいって何言ってんの!? この学校は皆が持ち込み禁止です。例外はありません」


「いいったらいいんです。校長先生からも許可を貰ってます」


「何を!? 戯言はいいから貸しなさい!!」

 

「私は病気なんです。だからいいんです」


堪えていた涙が溢れ出す。


もう我慢できない。


「何言ってんの!?」

そういってくる先生に私は泣きながら告げる。


「私はあと三ヶ月も生きられないの。あと寿命は三ヶ月もないんです」

 

私は自分の一つ前の空いた席を目に捉え、感情をさらけ出す。


「それなのに……それなのに……私はつい最近好きな人が出来てしまった」


前の席は休んでいる神崎君の席


もう言葉が支離滅裂で自分自身が何を言ってるかもままならない状態だが私は言葉を続ける。

 

「さっき来たのはその人からのメール。私は人を好きになっていいのかな? 私は恋してもいいんですか?」


声は決して大きくないが、私の気持ちは激しく揺れていた。


先生は答えられずに突っ立っている。


やはり答えられないか……


私が諦めかけたその時、後ろに友梨が立っているのに気がついた。


「本当なの? 恋歌……」

泣きそうな声で尋ねてくる。


私はそれによりここが教室であったことを思い出した。


まさかあれだけ伝えれなかったことをこんな形で伝えてしまうとは……


ましてや神崎君のことまで……

熱くなりすぎて先生しか視野に入ってなかった私は後悔する。