hiro-shugo’s diary

グダグダ雑談日記

水の間①

俺の名前は桑田輝政

25歳にして、多額の借金を抱えているダメ人間だ。


その金額、数にするとざっと1000万。


と言ってもその借金を作ったのは俺ではない。

作ったのは他でもない――俺の友人だ。


普通に考えたら、俺に借金を返す義務はない。


しかし、その借金の保証人が俺であり、友人は何処かに逃げてしまったため、返済義務を否応なしに負われているのだ。

俺はあの時、何も考えていなかった。連帯保証人になるということはこうなる可能性も充分に考えられた。

借金取りが俺のもとにやってきてから何度目か……俺は暗い部屋の中パソコンを前に頭を抱える。


これが普通の金貸しならここまで頭を悩ませやしない。問題はその友人が借りてきた場所なのだ。

法外な利子で金を貸し付ける所謂闇金融ーーまだ25歳の俺には働く場所なんかたくさん存在する。真面目に働けば1000万を長期間かけて稼ぐことは充分可能だった。

そう法外な利子さえ無ければ充分返済出来たはずなのだ。


一応今の所月々の返済分は払えてはいるが、生活費も返済に当てているため、まともな生活すら出来ていない。

そのためか体調は日々悪くなり、つい先日勤務先で大きなミスをおかし解雇

宣告をされた。

一応まだ宣告の段階のため、給料こそ貰えるがその決定は恐らく今後変わることはないだろう。


精神的に追われてた俺はインターネットで自殺方法を調べていた。

首吊り、飛び降り、練炭……

様々な自殺があるが出来れば最後くらい苦しまず楽に死にたい。


あれやこれやと選別しながら、必死になって調べる。

しかし、これだ!! と思えるような自殺方法が見つからない。


俺は自殺関連の言葉を様々な組み合わせで検索エンジンにかけ続ける。


するとあるサイトに目が止まった。


サイト名は【conflict】

日本語訳で【争い・論争】だ。

 

俺はそのサイトを開き、上から順に読んでいく。


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自殺を試みようとしている貴方

どうせ死ぬなら最後に大博打をしてみませんか?


お金は必要ありません。


賭けるのはあなたの命のみ。


もしやってみようという方がいましたら下記のアンケートに答えた上で応募下さい。


大金を得て人生をやり直しましょう。

―――――――――――


そしてその下にはアンケートがある。


何とも胡散臭い話だが、やらずに後悔より、やって後悔


さっきまで他のサイトを覗いていたが、俺に自分で死ぬ勇気が無いことは分かった。

どうせここで騙されても俺が社会の底辺にいる存在であることは揺るぎない。


俺は参加を決意し、アンケートに答えていく。


名前、住所、性別……

今の社会をどう感じるか?
今一番ぶっ壊したいものは何か?

と言う風に最初のほうは個人情報に関するものばかりだったが、問題が進むにつれ、こちらの人間性を計ろうとする意図が感じられる質問が増えてくる。

しかし俺はそんなことを気にせず、ただ自分が思い感じることをそのまま書き連ねていく。

50問は答えただろうか……

すでにネットサーフィンを始めてから半日は経過しており、疲れが表に出てくる。

しかし、問も残すところあと一つという所まで辿り着いていた。

 

最後の質問はこうだ。

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報酬として欲しい金額はいくらですか?
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記入欄には1000万から1億で選択せよと書いてある。

俺はここで初めて何て書くべきか考え始める。

金はあればあるほど、そりゃあいい。


1億と書くべきか……

それとも素直に……

 

俺は悩みに悩んだ末、欲しい金額の所にただ借金額である1000万という数字を打ち込んだ。